ならば

音とかで遊んでいたログ

The Eye Tribe Trackerを使った視線の記録

昨年末にThe Eye Tribe Trackerという$99の視線追跡デバイスが発売された。待ちわびた。
今のところ開発者向けのパッケージだけがあり、専用のトラッキングバイスAPI仕様、SDK、サンプルプログラム、チュートリアルが用意されている。

早速注文して年明けに届いたのでいろいろ遊んでみた。

ディスプレイの前にある細いスティック状のものが専用デバイスで、きしめんのように平たいUSBケーブルでPCと接続する*1
視線で何かをコントロールする使い方もありだけど、今回は何かをやっているときの視線をひたすら記録した。

弾幕シューティング

rRootageで弾避け。
視線は黄色い円。

一番最初にこれを持ってきておいてなんだが、視線では表せない周辺視野でどこまで見えているかも重要だと思う。

お絵かき

持ち腐れのペンタブレットで、参考資料なしで干支を描く。
視線は青い円。

ド下手なのは別にして明らかにミスしているところがあるが、二回目を撮る気になれなかった。

楽譜作成

LilyPondのフロントエンドFrescobaldiを利用した。
視線は青い円。

視線がちょくちょく画面外に出るのは慣れない位置にあるキーボードのキーを頻繁に確認しているため。
録画をサブディスプレイでやっていて、普段とは違う姿勢でキーを叩いているのでよく間違えている。

写真閲覧

Little Visualsからダウンロードしてきた画像をスライドショーで眺める。
視線は黄色い円。

特にこれといって見るべきところのない画像は視線がさまよう。

補足

手抜きの影響

どこを見ているかを調査する目的で今回のように視線の跡を動画に描く場合、まじめに(学術研究とかで)やるなら、被験者の目にはその跡が見えないようにするべきだと思う。
たとえば、視線の座標だけ別のログで取っておいて後から動画に重ねて描画するとか。

今回作ったプログラムは手抜きをして、視線の座標に合わせて画面上にそのまま円を出すようにしているので*2ちょうど目を向けているところに変な丸い物体がずっと付いてくるという状況になっている。
動画を撮る前にいろいろ試して目を慣らしているつもりだけど、全く影響がないとは言えない。
特に弾幕シューティングの場合は円が中途半端に意識に上ってくると弾幕と混同する。

まあでも、シューティングを除けば影響はあっても少しかな。
思い立ってマインスイーパーをやってみたら、ほぼ見ているマスに円が張り付いてくる。

そんなことより上の動画は追跡精度の高さも示している。
$99のデバイスで、ちょっとキャリブレーションやっただけでこれだけの精度が出るというのは素晴らしい。

The Eye Tribeというベンチャー

この素晴らしいデバイスを開発・販売しているThe Eye Tribe社は設立から二年くらいのベンチャーで、この素晴らしいデバイスを作るために立ち上げられた。
創業メンバーにはコペンハーゲンIT大学で作られていたオープンソースの視線追跡ソフトITU Gaze Trackerの開発コアメンバーがいて、要するに大学でやっていたプロジェクトを事業化したということだと思う。
事業化の理由は、需要があることが分かったので経済的な障害をなくしてフルタイムで取り組みたいと考えたかららしい。

こういう経緯があるので、ITU Gaze Tracker関連は今後開発休止になる気がする*3
確か後継ソフトがベータ版であったのだが、それも正式版は出ないだろう*4

ITU Gaze Trackerでも遊んだ経験からすると、個人的には$99で追跡精度の高い専用デバイスが買えるなら、自分で赤外線カメラ買って試行錯誤するよりはずっと良い。

その他メモ
  • 視線の座標を取ってくる程度のプログラムならサンプルプログラムが生成するDLLをインポートすれば相当簡単に作れる。
    最初の動作確認用にそういうプログラムを作ったとき、自分で書いたC#のコードは20行くらいだった。
  • 左右の目が見ている座標を別々に取得することもできる。
  • 目をつぶると視線が消失するが、実際に試したところこのときの座標は原点(0,0)になる仕様らしい。
    これを利用するとまばたきの検出もできる。左右別々に取得できることも合わせるとウィンクも検出できる。

*1:USB3.0のポートでないと動作しないと公式サイトに書いてある

*2:こうすると単にデスクトップを録画するだけで済むのでとても楽

*3:確認してない

*4:確認してない