ならば

音とかで遊んでいたログ

論文

引き続き、electro-musicのトピック経由。Ge Wangはつい最近プリンストン大学コンピュータサイエンスの博士号を取った。そのときの学位論文「The ChucK Audio Programming Language "A Strongly-timed and On-the-fly Environ/mentality"」がPDFで公開されている(リンク先のthesis)。表紙も含めて全部で192ページあるけど、特に難解なことが書いてあるわけじゃないから読みやすかった。内容は前回見た動画に沿っている。現時点ではChucKに関する最も詳しいドキュメントだろう。論文なので言語の細かい機能やライブラリについては省かれていて*1、開発の背景や位置付け、理由、目的、方向性について多く書かれている。

プログラミング言語/環境としてのChucKの目標に、

  • プログラミングと音響の教育用途(プログラミング未経験者でも習得しやすいこと)
  • 素早いプロトタイプ作成用途

というのがある。この二つはProcessingの目標と似ている。言語が扱う領域の違いから、主にProcessingは目、ChucKは耳に訴えかけられるように作られている。自然で柔軟に音を扱えることを目指して、ChucKはプログラマが制御できる時間と並行性を強く意識した作りになった。

論文の中に、アラン・パリスの言葉として次の引用句がある。

a programming language that doesn't change the way you think is not worth learning.

自分にとって、ChucKはこの意味で学ぶ価値のあるプログラミング言語だ。

*1:そういうのはマニュアルを読めば分かる